知ってお得な豆知識!お中元はどのようにしてはじまった!?
こんにちは、irodori編集部のツッチーニ(三度の飯より読書が好き!な文学青年)です。
7月に入り、このところ日の入り時刻がかなり遅くなってきている実感がある。夕方の時間帯であっても外がまだまだ明るい。梅雨が明けていないとはいえど、否が応でも夏の訪れが目前に迫ってきているのを肌で感じる。
この時期になると私は毎年「お中元(おちゅうげん)」について考えを巡らせる。
お世話になった方に贈り物をするお中元。若い人にとっては馴染みが薄い風習になりつつあるようだ。
それにしても、なぜお中元という習慣はあるのか、なぜこの時期なのか。今回はそのルーツ・歴史を探りながらお中元の習慣の価値を改めて考えてみようと思う。
1.お中元の起源は中国から渡ってきた
中国から渡ってきた「中元」の考え方。ここに日本における「お中元」のルーツがありそうだ。
日本においても、1年を1月と7月で2つに分けて祖霊(それい)を祀る(まつる)という考え方があったことから、お中元・お歳暮が年中行事として定着していったと思われる。
さらに、現代のような贈り物をしあうスタイルとなったのは、祖霊など神へのお供え物を人々で分かち合って食べるために配ったり、贈ったりしたことが始まりと考えられている。
さて、お中元の由来となった中国の暦(こよみ)からみてみよう。
中国では、古代から旧暦で上元 (1月15日) 、中元 (7月15日) 、下元 (10月15日) の3つにわける歴法がある。
この3つの日を「三元(さんげん)」というが、これは三官大帝(さんかんたいてい)の誕生日にあたる。
おっと、当たり前のように三官大帝なんて言葉を出してしまったが、まずこの三官大帝について軽く触れておくとしよう。
三官大帝とは道教の神で、天官(てんかん)、地官(ちかん)、水官(すいかん)の三帝のことである。天官は賜福(福をもたらす)、地官は赦罪(罪を赦す)、水官は解厄(厄を祓う)の神徳があると考えられている。
そのいわれは諸説あるが、頭がよく美貌の青年である陳子椿(ちんしちん)に龍王の三人の娘が恋をし、それぞれに子供を産んだのが上記三官らしい。
長男である天官は1月15日、次男の地官は7月15日、三男の水官は10月15日に生まれたとされているゆえに、この三官の誕生日を「三元日」と呼んだのである。
特に贖罪(しょくざい)の神徳がある地官の誕生日である「中元」は、死者、特に先祖を供養する日とされるようになった。
2.日本におけるお中元の歴史
さて、ここからは日本のお中元の歴史を紐解いてみる。
①縄文時代はシェアの時代
まず、贈り物の歴史は縄文時代にさかのぼる。縄文時代の人々は数家族単位の団体生活をしており、狩猟や採集によってえられた食べ物をその集団の中で分け合って生活していたと推測されている。
この食事の分配こそが贈り物のはじまりであり、昔から助け合って生活してきた日本人ならではの文化といっていいだろう。
②弥生時代は神様への贈り物に発展
また、弥生時代になると日本では農耕が盛んに行われた。そして、土地に定着するようになり、村という共同体が発生。
村では無事に収穫できたことへの感謝や、来年も豊作でいられるようにという願いを込めて、その年の作物を神に捧げる風習が生まれたといわれる。
贈り物としての正式な習慣はこのような収穫祭に起源があると考えている説が国内では定着しているという。
そのうちに神に対してだけでなく健在である親の無病息災(むびょうそくさい)を祈って魚類を贈ることも各地で盛んに行われるようになった。
③江戸時代は商人が粗品を配った
さらに、江戸時代になると商人たちが決算期(これがお中元やお歳暮の時期に重なる)にお得意先に対して手ぬぐいなどの粗品を配り始めた。これがが贈答の活性化につながったと言われる。
次第にお中元やお歳暮という言葉自体が贈答を表す意味へと移り変わって、一般庶民の贈答行事へと広まり現代のお中元の形になったようだ。
④明治以降は産業化がすすみ今のカタチへ
こうして出来上がった贈答習慣としてのお中元。
本格的に盛んになったのは明治以降で、東京や大阪などの大都市への人口集中にともない、人々の交際範囲が拡大した。
それは、産業化により中元・歳暮の商品化が開始された影響が大きい。また、日清・日露戦争後の好景気の時期に次々とデパートが生まれ、新聞や雑誌で大々的にお中元・お歳暮向け商品 の広告を打ち出し、都市部の人々の間に浸透していったのである。
【まとめ】お中元はシェアの精神からはじまっていた!今年も大切な人に贈ろう
以上、お中元の起源・歴史について書いてきた。
日本人には相手を思いやり物を贈り合う文化がはるか昔から根付いていたというのは非常に興味深かった。
この記事をきっかけに「例年はお中元を贈る習慣はなかったけれど、今年は大切な人に贈ってみようかな」という方が一人でも増えたら私としてはとても嬉しく思う。
今後、お中元を贈る際のルールやマナーについても別記事で取り扱っていきたい。